日本国内においても、バンクシーを巡る騒動は大きな議論を巻き起こしました。象徴的だったのが、東京都港区のゆりかもめ「日の出駅」近くの防潮扉に描かれていた、傘を持ったネズミのステンシル画です。2019年、当時の東京都知事が「東京への贈り物かも」とSNSに投稿し、扉を取り外して都庁で一般公開した対応は、国内外で激しい賛否両論を呼びました。
行政が「公共物への落書き」を処罰・消去するのではなく、話題性に乗じて保護・展示した姿勢に対し、多くの批判が噴出しました。
- 行政のダブルスタンダード:一般の落書きは厳しく取り締まる一方で、有名アーティストの落書きだけを特別扱いするのは法の下の平等に反する。
- 真贋鑑定の限界:ペスト・コントロールが公式に認証しない限り本物と確定できないストリート作品を、公的機関が過剰に持ち上げることへの懸念。
- 模倣犯の誘発:「バンクシー風の絵を描けば注目される」という誤ったメッセージを社会に与え、各地で類似の迷惑落書きが増加するリスク。
この一件は、日本の法制度や公共マナーの規範と、グローバルなアートバブルの文脈が正面衝突した象徴的な事例として、今なお語り継がれています。