SCP-087内部に足を踏み入れた者が最初に体験する異常現象が、階段の遥か下方から聞こえてくる「子供の泣き声」です。記録によると、それはおよそ数歳ほどの幼い子供が「助けて」「降ろして」と怯えながらすすり泣いているような声として観測されます。
奇怪なことに、探索者がどれだけ階段を数百段、数千段と降りて行っても、泣き声の発生源との距離は約200メートル下方から一切縮まりません。音源そのものが探索者の下降に合わせて後退しているのか、あるいは空間そのものが歪んでいるのかは判明していません。この終わりのない心理的誘導が、侵入者の精神を極限まで摩耗させていきます。
そして、多くの読者や探索者を恐怖のどん底に突き落とした存在が、暗闇の中から突如として視界に現れるSCP-087-1(通称:謎の顔)です。
SCP-087-1は、瞳孔や虹彩が存在しない虚ろな目、鼻や口といった明確な器官を持たない青白い人間の顔のような形状をしています。自ら発光することはなく、探索者のライトに照らされることで初めてその輪郭が浮かび上がります。敵意や感情を一切読み取ることができないその顔は、ただじっと探索者を見つめ、瞬きもせずに距離を詰めてくる異常なプレッシャーを放ちます。