外見上の形状においても、歴史的・地理的な背景から明確な地域差が育まれてきました。一般的に東日本は「三角形」、西日本は「俵型」が伝統的な主流とされています。この分岐の理由は、それぞれの地域で栄えた生活様式と密接に結びついています。
関東地方を中心とする東日本で三角形が主流となった背景には、前述の山岳信仰への祈りに加え、武士社会における携帯食としての利便性がありました。角がある三角形は握りやすく、腰につけた竹皮の包みにも収まりが良かったのです。これに対し、上方(関西地方)で俵型が定着したのは、江戸時代の観劇文化や行楽文化の隆盛が引き金となりました。歌舞伎の幕間に重箱から取り出して食べる「幕の内弁当」において、俵型は隙間なく美しく詰めやすく、女性や観客が箸や手で一口サイズとして口に運びやすいという実用性から広く愛好されたのです。