潮汐が果たす生態学的役割も見逃せない。干潮時に現れる干潟は、無数の甲殻類や渡り鳥にとって不可欠な採餌場であり、海の浄化機能を担う天然のろ過装置だ。潮が満ちることで豊かな酸素と栄養塩が沿岸部に供給され、多様な海洋生物の生命環が維持されている。
だが最新の海洋環境調査は、潮の潮流運動が海洋プラスチックごみやマイクロプラスチックを沿岸部に集積させる「運び屋」となっている実態を明らかにしている。満潮に乗って湾奥深くまで押し寄せた微細なゴミは、引き潮の際にも残置されやすく、沿岸の生態系や養殖産業へ深刻なダメージを与えている。海の呼吸とも言える潮汐が、人類の排出した汚染物質を突き返す皮肉なループが形成されているのだ。