格闘技における「時間」は、時として数字以上の重みを持つ。特にあの日用意された「3分3ラウンド、延長1ラウンド(無制限判定なし)」という特殊なルール設定は、一秒の油断すら許されない極限状態を生み出した。通常のタイトルマッチのような長いゲームプランニングは存在しない。最初の一瞬からラストゴングまで、すべてのエネルギーを凝縮してぶつけ合うほか生存戦略はなかった。
1ラウンド終盤、天心の鋭い左フックが武尊の顔面を捉え、電撃的なダウンを奪った瞬間のタイムラグ。会場が一瞬静まりかえり、次の瞬間に爆発した地鳴りのような大歓声。たった9分間。しかしその濃密さは、観客全員の体内時計を狂わせるのに十分すぎるほど強烈だった。