かつての選挙と今回の決定的な違いは、テレビや新聞といったオールドメディアを凌駕する勢いで、SNS上の言論空間が実際の投票行動をダイレクトに牽引した点にあります。ネットの反応・世論を精査すると、従来のイデオロギー対立(右か左か)ではなく、「生活実感・手取り論争」と「既得権益への怒り」という2つの軸で有権者が動いていたことが浮き彫りになります。
X(旧Twitter)やYouTube、TikTok上では、候補者の過去の裏金発言や収支報告の不備を検証する切り抜き動画が数百万回再生され、無党派層の投票意欲を一気に引き上げました。街頭演説の現場でも、通り過ぎる会社員や主婦層が「今回は絶対に自民には入れない」「一度痛い目を見せないと変わらない」と口を揃え、公の場で語られた国民の肉声には諦めを超えた冷徹な拒絶が滲んでいました。
また、ネットを巧みに駆使した国民民主党の「手取りを増やす」「103万円の壁見直し」といった具体的かつ生活に直結する政策発信は、20代から40代の現役世代に熱狂的に拡散されました。従来の組織票に頼り切った自民党の選挙運動が、デジタル空間で完全に周回遅れとなっていた実態が白日の下に晒されたと言えます。