『勝手にしやがれ』を伝説足らしめている最大の要因のひとつが、ステージ上で披露された前代未聞のパフォーマンスです。スリーピースのスーツに身を包んだ沢田研二が、イントロのピアノとともに気だるそうにネクタイを緩め、サビのクライマックスで被っていたパナマ帽(中折れ帽)を客席に向かって鮮やかに放り投げるアクションは、日本中のお茶の間に強烈なインパクトを与えました。
この演出は、デザイナーの早川タケジやスタイリスト陣との綿密なディスカッションから生まれたものであり、テレビという映像メディアの特性を極限まで計算し尽くしたものでした。毎回ステージごとに客席へ帽子を投げていたため、ツアーやテレビ出演のたびに膨大な数の特注帽子が用意されていたという逸話は、制作現場の並々ならぬ情熱を物語っています。
その結果、同曲はオリコンチャートで通算5週にわたり1位を獲得し、公称売上89万枚を超える大ヒットを記録。1977年12月31日に帝国劇場で開催された「第19回日本レコード大賞」では、圧倒的な支持を集めて大賞を受賞しました。受賞決定の瞬間、涙を流しながらも完璧な歌唱と帽子投げを再現した沢田研二の姿は、日本の音楽史に刻まれる象徴的な名場面となっています。