将棋界の長い歴史において、加藤一二三の記録は異彩を放ち続けている。
14歳7ヶ月でのプロ入りは、当時の史上最年少記録。この快挙は後に藤井聡太によって塗り替えられるまで、長らく破られなかった金字塔だ。また、15歳でC級1組へ昇級し「中学生棋士」として一世を風靡した軌跡は、のちの羽生善治ら「羽生世代」の隆盛、そして現代の藤井1強時代へと続く天才の系譜の原点と言える。
通算対局数2505局という驚異的な数字は、幾多の時代を駆け抜けた証だ。80代を迎えても将棋への情熱を失わず、62年9ヶ月に及ぶ現役生活を全投球で走り抜けた。藤井聡太が打ち立てる令和の新記録に喝采が送られる今だからこそ、昭和・平成をまたいで盤上に君臨し続けた「ひふみん」の威光が、より一層の鮮烈さをもって再評価されている。