『ラストエンペラー』には、一般的に知られる「劇場公開版(約163分)」と、テレビ放映用やディレクターズ・カットとして編集された「オリジナル版/完全版(約219分 / 3時間39分)」の2つのバージョンが存在します。
約56分もの未公開映像が追加されたオリジナル版では、以下のようなシーンが補完されています。
・紫禁城での幼少期:宦官たちとの権力闘争や、母親との別れの痛切なディテールがより深く描かれる。
・天津時代の退廃的な生活:溥儀が欧米の社交界に傾倒し、ナイトクラブで豪遊する狂騒と虚無感の描写。
・満州国での政治的暗闘:日本軍将校や甘粕正彦との緊迫した駆け引き、閣僚たちとの対立シーンが大幅に追加。
・収容所での尋問過程:戦犯管理所において、溥儀が過去の罪行を告白させられる心理戦が詳細に展開。
ベルトルッチ監督自身は「テンポと構成の観点から劇場公開版がベストである」という趣旨のコメントを残していますが、歴史的背景をより深く理解し、人物像の陰影を味わい尽くしたいファンにとっては、3時間39分のオリジナル版も必見の内容です。