彼女の真骨頂は、作品ごとに全く異なる雰囲気を纏う柔軟性にある。連続ドラマ版『この世界の片隅に』では、戦時下の困難な時代を懸命に生きるヒロイン・すずの優しさと逞しさを繊細に表現。観る者の感情を揺さぶる純度の高いヒューマンドラマを成立させ、絶賛を浴びた。
その一方で、ホラー映画『それがいる森』のようなジャンル作品にも果敢に挑んだ。極限状態に追い込まれた人間のリアルな動揺や恐怖を全身で体現し、作品に重厚な緊張感をもたらした。スケールやトーンを選ばず、常に役に血通わせる表現力は、数多くの映画監督から全幅の信頼を寄せられている。