世界的な大ヒット漫画のアニメ化において、主人公・日比野カフカのキャスト発表はアニメ界最大の関心事の一つだった。32歳で怪獣清掃会社に勤めながら、一度は諦めた防衛隊員への夢を再び追う男。完璧なヒーローとは程遠い、泥臭くも愛おしい中年男の葛藤を誰が表現できるのか。
大役を射止めた福西勝也の演技は、一聴して関係者の心を掴んだ。単なる「格好いい声」ではなく、加齢に伴う哀愁、夢を諦めきれない執念、そして怪獣化してしまったときの圧倒的な咆哮。それらを一握りの嘘もなくマイクにぶつける姿が、制作陣の目指すリアルな人間像と完璧に合致したのだ。大作の看板を背負うプレッシャーを乗り越え、彼は日比野カフカというキャラクターに唯一無二の命を吹き込んだ。