主人公・高倉奏を演じた小栗旬の圧倒的な存在感は、本作の最大の屋台骨だった。軍隊仕込みの射撃技術と格闘術を持ちながら、過保護な母親からの電話には頭が上がらないというギャップ。この難役を、小栗はキレのあるアクションとシュールなコメディの間を行き来しながら見事に表現してみせた。
その後、小栗はNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』での主演をはじめ、映画、舞台、そしてハリウッド進出に至るまで、名実ともに日本を代表する俳優へと登りつめた。2026年現在の彼のキャリアを見渡したとき、『東京DOGS』で見せた振れ幅の広い演技スタイルこそが、彼の真骨頂たる変幻自在な演技力の原点であったことが良く解る。