かつて石原裕次郎の劇中にも登場した「トロリーバス(無軌条電車)」は、2019年に惜しまれつつその役目を終えた。現在、扇沢と黒部ダム間を結ぶ輸送の主役は、関西電力株式会社が導入した「関電トンネル電気バス」である。超急速充電機能を備えた最新のEVバスであり、排気ガスを一切出さない環境対応型ビークルとして山岳環境の保全に貢献している。
トンネル内の急勾配を音もなくスムーズに加速していく走行体験は、まさに次世代のテクノロジーだ。車内アナウンスやディスプレイでは、トンネル建設時に最大の難所となった「破砕帯」の通過場所が提示され、乗客は冷気漂うトンネル内で当時の苦難に思いを馳せることができる。歴史の遺産と現代のクリーンエネルギー技術が見事に融合した、移動そのものがエンターテインメントと言える。