日本のテレビドラマ史において、山下容莉枝はサスペンスドラマの絶対的キーパーソンとして欠かせない存在です。『土曜ワイド劇場』『火曜サスペンス劇場』といった2時間ドラマ枠から、テレビ朝日系『相棒』『科捜研の女』『警視庁・捜査一課長』に至るまで、膨大な事件簿に名を連ねてきました。
特にテレビ朝日系の国民的刑事ドラマ『相棒』シリーズには、異なるシーズンで複数回ゲスト出演。ある時は事件の悲哀を背負う被害者遺族、ある時は冷徹な秘密を抱えた証言者として、同一シリーズでありながら全く異なる人物像を演じ分け、視聴者とドラマファンを唸らせました。
彼女の演じる役柄は、単なる「善人」や「悪人」という二元論では割り切れない、生活感や心の弱さ、業の深さを滲ませる点に真骨頂があります。画面の端に映る視線の揺らぎ一つで物語の伏線を成立させる技術は、演出家にとっても頼みの綱となっています。