戦後、東映が設立されると、右太衛門は片岡千恵蔵とともに「東映の二大御大」として会社を牽引する。東映時代劇黄金期と呼ばれる1950年代、彼の主演映画は常に興行収入のトップを走り続け、映画館の前には連日長蛇の列ができた。単なるスターとしてだけでなく、役員として会社の経営陣にも名を連ね、東映の礎を固めた功績は計り知れない。
右太衛門の真骨頂は、ド派手なヒーロー像だけではない。名匠・マキノ雅弘監督による名作『殺陣師段平』で見せた鬼気迫る演技は、今なお映画批評家の間で語り継がれている。殺陣に命を懸ける凄腕の殺陣師・段平の執念と孤独を泥臭く演じ切り、従来のチャンバラの枠を超えた演技派としての底力を見せつけた。華やかな大立ち回りと極限の人間ドラマ、その両方を演じ分けられる圧倒的な表現力こそが、彼を巨星たらしめた理由だ。