東アジアの社会派サスペンス映画において、切っても切り離せない要素が「境界線に生きる人々」の描写だ。金義聖やナ・ホンジン監督が手掛けた緊迫感あふれる『黄海』は、中国吉林省などに暮らす「朝鮮族」のリアルな生活感と哀愁を過激なアクションとともに切り取り、世界に大きな衝撃を与えた。
その後、イ・ジョンジェ監督の話題作『ハント』に至るまで、極限状態に置かれた人物たちの衝突を描くサスペンス映画の文脈は確実に進化を遂げてきた。単なる悪役や記号的な存在として描かれる時代は去り、個々の人間が抱える葛藤や歴史的背景に光を当てるアプローチが、現代の映画制作における大きな潮流となっている。