仮に山林や農作業中にクマと遭遇した場合、生死を分けるのは冷静かつ素早い初期動作である。クマに遭遇した際、大声を上げてパニックになり逃げ出す行為は、野生動物の追跡本能を刺激するため最も危険だ。背中を見せずにゆっくりと後退し、距離を取ることが基本とされる。万が一襲撃された場合は、熊撃退スプレー(ベアスプレー)を射出するか、地面に伏せて首の後ろを両手で保護する「防御姿勢」を取ることで致命傷を回避する確率が高まる。
同時に行政レベルでも抜本的な転換が進められている。環境省はツキノワグマを「指定管理鳥獣」に追加指定し、捕獲支援や調査費用の国庫補助を拡充させた。都道府県や市町村主導による鳥獣被害対策が強化され、電気柵の設置や放置果樹の伐採、ハンター育成などの野生動物管理政策が本格化している。しかし、過疎化と高齢化が進む地域現場での人材不足は切実であり、対策のスピード感が試されている。