実話をもとに制作された重厚なヒューマンドラマ『あんのこと』で、彼女が見せた苦悩と一筋の光は、観客の胸を激しく揺さぶった。社会の底辺で生きる少女の歪な純粋さを、過剰なドラマティシズムを排して演じきった手腕は圧巻だ。数々の映画賞やブルーリボン賞をはじめとする評価を総なめにしたのも頷ける。
一方で、劇場アニメーション『ルックバック』における声優への挑戦も大きな話題を呼んだ。声という限られた要素だけでキャラクターの情熱と屈託を表現してみせる柔軟性は、彼女の表現領域が実写映画にとどまらないことを鮮やかに証明している。