かつて岩手県久慈市の海で彗星のごとく現れ、日本中に強烈なインパクトを与えた大向美咲。当時、18歳だった彼女の瑞々しい姿は一瞬にして全国区のニュースとなり、静かな港町に押し寄せた観光客とメディアの熱狂はひとつの社会現象となった。しかし、突如として脚光を浴びたことで生じた喧騒と過剰な注目は、まだ若かった彼女の肩に想像以上の重圧となってのしかかった。
一時の「話題の人」として扱われる葛藤の陰で、彼女は伝統技術の習得という泥臭い現実に向き合い続けていた。冷たい海水に耐え、ベテランの海女たちから潜水の技術と呼吸法を泥臭く盗み出す日々。波に揉まれながらも海に入り続けたその真摯な軌跡は、後に続く若い世代が勇気を持って海の現場を目指すための確固たる道標となった。