厚生労働省の「歯科疾患実態調査」や関連学会の報告データを総合すると、日本人のうち不正咬合(叢生・出っ歯・受け口・開咬など)を持たず、生まれつき正常な噛み合わせと綺麗な歯列を保っている人の割合はおよそ20%〜30%程度にとどまります。実に国民の7割以上が何らかの歯並びの乱れを抱えているのが実情です。
では、選ばれた2〜3割の「生まれつき歯並びが良い人」はどのような要因で決まるのでしょうか。歯科医学的な見地から整理すると、要因は大きく「先天的遺伝」と「後天的な生活習慣」の2つに大別されます。
1. 骨格と歯のサイズの遺伝的バランス
歯の大きさに対して顎の骨が小さすぎると「叢生(八重歯やガタガタの歯並び)」になり、逆に顎が大きすぎると「すきっ歯」になります。生まれつき綺麗な人は、両親から受け継いだ顎のアーチの大きさと歯の幅のバランスがミリ単位で調和しているという、遺伝的な幸運に恵まれています。
2. 幼少期の呼吸様式と口腔習癖(後天要因)
小児歯科の現場で特に指摘されるのが、乳幼児期から学童期にかけての悪習癖の有無です。口呼吸を日常的に行っていると、舌が本来収まるべき上顎(口蓋)から落ちて低位舌となり、上顎の骨が十分に横へ広がりません。その結果、永久歯が生え揃うスペースが不足して歯並びが崩れます。一方で、幼少期から「鼻呼吸」「しっかり噛む食事」「指しゃぶりや頬杖のない生活」を徹底していた子どもは、顎の骨が正しく発育し、自ずと綺麗な歯並びが形成されます。