「やばい」の本当の意味と語源とは?危険な隠語から若者の褒め言葉へ

「やばい」の本当の意味と語源とは?危険な隠語から若者の褒め言葉へ

「やばい」の本当の意味と語源とは?危険な隠語から若者の褒め言葉への疑問点について、専門知識を詳しくお届けします。

江戸の隠語として生まれた「やばい」は、昭和中期までは主に不良少年や任侠の世界で「警察に捕まりそうだ」「危ない橋を渡る」といったネガティブな文脈のみで使われていました。この言葉が劇的なパラダイムシフトを迎えたのは1980年代後半から1990年代初頭のバブル崩壊期です。

渋谷や原宿を中心とした若者カルチャーの中で、従来の「不都合で危ない」という意味が転じて「危ないほど魅力的」「常識外れに凄い」という肯定的なニュアンスを帯び始めました。感情のリミッターが外れるほどの刺激を受けた際、ポジティブな衝撃を表現するスラングとして再定義されたのです。

この変化は日本語の権威である辞書の記述にも明確に反映されています。長らく「危険である」「身の破滅につながる」といった否定的な語義のみを掲載していた岩波書店の『広辞苑』ですが、2008年刊行の第6版において「のめり込みそうである」という新解釈が追加され、さらに2018年の第7版では「最高である」「素晴らしい」といった肯定的な用法が公に認められるに至りました。言葉の変遷史において、ここまで正反対の意味を獲得した事例は極めて稀有です。

前田 葵
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前田 葵

マーケティングと消費者心理のトレンドを分析し、現代のヒット商品の背景を読み解きます。