あたたかな光が差し込む部屋で、静かに視線を交わす一人と一匹。無駄なセリフを極限まで削ぎ落とし、表情と空気感だけで視聴者の情感を揺さぶる演出手法は、当時の広告界に大きな衝撃を与えた。そこにいたのは、威厳と哀愁を漂わせる大人の男性と、手のひらに乗りそうなほど小さなチワワである。
奇抜なインパクト勝負が多かった当時のテレビCM市場において、静けさと「愛」を前面に押し出したストーリーテリングは異彩を放っていた。画面越しに伝わるぬくもり。言葉はいらない。ただ見つめ合うだけで物語が成立する圧倒的な映像美に、お茶の間は一瞬で引き込まれたのだった。