現代において、法律や公的基準では両者をどのように定めているのでしょうか。
結論から言うと、JAS規格(日本農林規格)や食品表示基準において「おにぎり」と「おむすび」の区別は一切存在しません。農林水産省や消費者庁の加工食品品質表示基準でも、双方ともに「米飯加工品」という同一カテゴリーに分類されており、どちらの名称で商品ラベルに記載しても法的な問題はありません。
法的な境界線が存在しないからこそ、独自のこだわりを見せているのがコンビニエンスストア各社です。
1970年代後半、セブン-イレブンがパリパリの海苔を直前に巻くフィルム入り包装を開発したことで、市場は一気に全国規模へと拡大しました。その中で各社のブランディングによる呼び分けが定着していきます。
例えば、セブン-イレブンは商品名を「おむすび」で統一しており、「人と人、人と食を結ぶ」「お米のひと粒ひと粒を結ぶ」という想いを込めて開発を続けています。一方、ローソンやファミリーマートは主に「おにぎり」の名称を採用し、手軽さや親しみやすさを前面に打ち出しています。流通の最前線における言葉の選択にも、各企業の哲学が反映されている点が興味深いところです。