開孔後に樹脂ピアッサーが膿む原因と真相を探ると、生体の創傷治癒プロセスと樹脂の相性の悪さが浮き彫りになります。ピアスホールが完成する過程では、傷口の内側に新しい皮膚(重層扁平上皮)が形成される「上皮化」が不可欠です。しかし、表面が柔らかく傷つきやすい樹脂ピアスは、洗浄時や就寝時の摩擦によって微細なスレ傷が生じ、そこに黄色ブドウ球菌などの皮膚常在菌が定着してバイオフィルム(細菌の膜)を形成します。
結果として傷口は慢性的な感染状態に陥り、黄色の膿や悪臭を放つ浸出液が持続的に漏れ出すことになります。金属アレルギーを防ぐ目的で樹脂を選ぶ人もいますが、実際にはアレルギー反応ではなく、細菌感染と物理的刺激による接触皮膚炎が「膿み」の本態であることが大半です。
この持続的な炎症により、ファーストピアスを透明ピアスにした場合の安定期間は大幅に遅延します。一般的な医療用チタンピアスであれば耳たぶで約4〜8週間で初期の上皮化が完了しますが、樹脂ピアッサーを用いた場合は最短でも3か月、長ければ半年以上経過してもホールが赤くジュクジュクしたまま安定しないケースが珍しくありません。刺激が長期化することで、傷口の周りに毛細血管と線維組織が異常増殖する「肉芽(ピアスケロイド)」を形成してしまう読者も多く、一度肉芽化すると自然治癒は極めて困難になります。
とりわけ警戒すべきは、軟骨用透明ピアッサー(14G)の自己使用です。耳軟骨は血流が極めて乏しい軟骨組織であり、一度細菌感染を起こすと抗生剤が届きにくく、「耳軟骨膜炎」へと急速に悪化します。最悪の場合、軟骨が融解して耳の形が変形する(カリフラワー耳)不可逆的な後遺症を残すため、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会などの専門医も軟骨への自己ピアッシング、とりわけ樹脂器具の使用には極めて厳しい警告を発しています。