刑期を終えて1974年に出所した藤本は、かつての政治闘争とはまったく異なるアプローチで社会変革を目指し始めます。獄中で読み漁った膨大な書物の中で出会ったのが、土と生命に向き合う「農業」でした。
出所後すぐ、安全な農産物を生産者から消費者へ直接届ける仕組みづくりに着手し、1975年には「大地を守る会」の初代会長に就任。無農薬・有機農業の普及にいち早く乗り出し、日本の有機農業ムーブメントの基盤を築き上げます。
さらに1981年、千葉県鴨川市の山間に拠点を移し、「鴨川自然王国」を創設。「農の営みこそが人間の根源であり、平和の礎である」という信念のもと、荒れ地を切り拓いて田畑を耕し、都市と農村を結ぶ交流空間を作り上げました。政治闘争の敗北を乗り越え、大地に根ざした真の自立を実践する藤本の姿は、多くの人々を惹きつけました。