なぜ、圧倒的なテクニックと破壊力を誇っていた重岡銀次朗が、タドゥランの前に屈することになったのか。現場の取材記録と映像分析から、試合当日にリング上で起きていた3つの決定打が浮き彫りになっています。
第1の要因は、挑戦者タドゥランの規格外の突進力と手数です。元王者でもあるタドゥランは、銀次朗のシャープなカウンターを被弾しながらも前進を止めず、ガードの上からでも力任せに打ち込む左右のフックで銀次朗のリズムを徹底的に破壊しました。銀次朗の緻密なボクシングに対し、泥臭い消耗戦を強いるタドゥランの戦術が完全に機能していました。
第2の要因として挙げられるのが、ミニマム級(リミット47.6kg)の限界に達していた過酷な減量です。アマチュア時代から成長を続け、筋肉量を増やしてきた銀次朗にとって、最軽量級のリミットを維持することは年々過酷さを増していました。試合当日のリカバリーが十分に進まず、打たれ強さやスタミナの持続力に狂いが生じていたことは否めません。
第3に、中盤以降の被弾によるダメージの蓄積です。6ラウンド以降、銀次朗の足が止まり、ロープを背負う場面が急増しました。持ち前のフットワークで被弾を回避できなくなり、頭部への断続的な衝撃が重なった結果、9ラウンドのストップに至る決定的なダメージへと繋がってしまいました。