皮膚という生きたキャンバスに文字を彫る作業は、紙や画面上の描画よりもはるかに高度な技術を要求される。アメリカの人気リアリティ番組『インク・マスター』でも、レタリングの課題は技術者の真価を問う最難関セッションとして知られている。線のブレやインクの滲み、文字間隔の歪みがわずかでも生じれば、作品全体の美観が根底から崩れてしまうためだ。
業界の健全な発展と技術向上を目指す全米タトゥー協会をはじめとする専門機関も、文字デザインの精密さに関する指針を重要視している。経年変化によってインクが皮膚内で徐々に拡散する「ブローアウト(滲み)」現象を防ぐため、細密すぎるフォントや余白のないデザインには警鐘が鳴らされる。
現在のタトゥー業界においては、衛生管理や最新の機器導入はもちろんのこと、数年後の経年変化まで見越した線幅の設計がアーティストの力量を示すバロメーターとなっている。一生モノの作品を手に入れるには、実績のある施術者のポートフォリオを確認することが欠かせない。