広大なボリアル林(北方林)を焼き尽くす炎の勢いは、消火活動に当たる消防隊の想定を遥かに超えている。2026年春、北米大陸を襲った「アーリー・ヒートウェーブ(早期熱波)」は、冬季の降雪不足で極度に乾燥していた地表から水分を根こそぎ奪い去った。
一筋の落雷、あるいはわずかな不始末が瞬時に大火災へと発展する。一度火がついた針葉樹は、樹脂を豊富に含むため爆発的な火勢を見せる。「樹冠火(じゅかんか)」と呼ばれる、木の幹から木々の頂部へとなぎ払うように燃え広がる現象が多発しており、地上からのアプローチはほぼ不可能に近い。現地当局は航空機による消火剤散布を連日続けているが、立ち上る濃煙が視界を遮り、フライト自体が制限される悪循環に陥っている。