明治17年(1884年)に建設された本館と、明治43年(1910年)に増築された別館。広大な敷地に立つふたつの建物は、それぞれ異なる表情で訪れる者を迎える。本館は入母屋造りの二階建てで、どこか凛とした佇まい。一方の別館は、180畳を誇る圧巻の大広間を備え、明治後期の華やかな宴の熱気を現代に閉じ込めたようなダイナミックな木造大空間が広がる。
階段の手すりひとつを取っても、無垢材を削り出した滑らかな曲線が手になじむ。釘を極力使わずに組み上げられた伝統工法と、当時の最先端だった洋風意匠のさりげない融合。歪みの残る手吹きガラス越しに見える庭園の景色は、まるで一枚の油絵のように揺らめき、時空を超えた感覚を呼び覚ます。