小説だけでなく、彼のエッセイ作品もまた熱狂的なファンを持つ。長年親しんだ酒を完全に断った体験を描いた『禁酒斷酒』や、自らの生活を共にする猫たちとの日常を綴った一連の猫エッセイは、文学者としてのもう一つの真面目な顔を垣間見せる。
依存からの脱却や、言葉の通じない猫という生き物との対峙。そこには、他者や自己を徹底的に見つめる冷徹な眼差しと、その奥底にある言葉にならない深い情愛が漂っている。人間の滑稽さを冷ややかに見破りつつも、どこか愛おしそうに抱きしめる姿勢こそが、彼の文章に独特のぬくもりと重みを与えているのだ。