清太は決して、ただの被害者ではない。彼は海軍大尉の息子としてのプライドを捨てきれず、おばさんの家での共同生活に馴染もうとしなかった。おばさんからすれば、清太は「戦争という現実から目を背け、お坊ちゃん気分のまま甘えている若者」に映ったのだろう。
この二人の間には、圧倒的なコミュニケーションの欠如があった。おばさんがもう少し優しく接していれば、あるいは清太が少しでも頭を下げて雑用を手伝っていれば、悲劇は避けられたかもしれない。しかし、極限状態の飢えとストレスが、互いの歩み寄りを不可能にしてしまった。