恩師亡き後も、しずちゃんは梅津トレーナーの遺志を胸に刻み、リオデジャネイロ五輪を目指して黙々とトレーニングを継続していました。しかし、2015年10月、彼女は記者会見を開き、現役引退を正式に表明しました。
引退を決意した理由は、単一の要因ではありません。長年の激闘とハードワークによる右肩や腰の持病・肉体的な限界に加え、何よりも「心のエネルギーの枯渇」がありました。彼女自身、会見で次のように心境を明かしています。
「梅津さんと二人で目指したオリンピックだった。梅津さんが亡くなってからも一人で走ってきたけれど、どこかで心と体が追いつかなくなっていた。やり切った、悔いはない」
恩師とともに目指した目標だからこそ、孤独な戦いの中で自分の限界を真摯に受け止め、グローブを置く決断を下したのです。誰にも恥じることのない、完全燃焼の引退劇でした。