この名曲を鍵盤上でドラマチックに再現するには、いくつかの明確な演奏上のポイントが存在する。ただ音符をなぞるだけでは、あの独特のアクション感やサスペンス性は生まれない。
まず最大の鍵となるのが「リフの切れ味」だ。冒頭の有名な旋律は、スタッカートとアクセントの明確な打ち分けが不可欠。音をダラダラと伸ばさず、指先を鍵盤から素早く離す「離鍵(りけん)のスピード」を意識しよう。
次に左手のベースラインである。4分音符で刻むベース音は、曲全体の心臓部。ペダルを踏みすぎると音が濁り、事件現場の緊迫感が削がれてしまう。基本的にはペダルを控えめに保ち、ドライで締まったリズムを刻むことがプロっぽい仕上がりへの近道だ。
さらに、メロディが展開するサビに向かってフォルテシモ(極めて強く)へと音量を解放するダイナミクスの付け方が、聴き手の心を揺さぶる。演奏動画のチェックと並行して、劇中のサウンドトラックを改めて聴き込み、管楽器の息遣いを鍵盤に置き換えていく作業が効果的だ。