この運命的な結びつきが目に見える形となって炸裂したのが、2026年に岡本太郎記念館で開催された「のん Ribbon展 怪しくて、可愛いもの。」でした。のんが脚本・監督・主演を務めた映画『Ribbon』の世界観と連動し、太郎が生前アトリエとして過ごした聖地に、のんが手がけた大量のリボンアートが持ち込まれたのです。
岡本太郎のエネルギーが染み付いた南青山の記念館は、並大抵の作品を展示すれば太郎のオーラに呑まれ、吹き飛ばされてしまう過酷な空間です。しかし、のんが持ち込んだリボンは、可愛らしさの象徴でありながら、怨念や情念、コロナ禍で奪われた青春への怒りや祈りを内包した異形の生命体のように蠢き、太郎の彫刻や未完のキャンバスと真っ向からぶつかり合いました。
この前代未聞のコラボレーションが実現した経緯には、記念館側の確固たる決断がありました。単に人気女優を招いた客寄せではなく、太郎が遺したアトリエという「表現の格闘場」に、本気で命を削って作られたのんの作品をぶつけるという、美術館側にとっても極めてスリリングな挑戦だったのです。