カチャンと硬貨を投げ込み、ボタンを押す。ニキシー管のカウントダウンが秒刻みで数字を減らし、25秒後に「チーン」という小さな音とともに熱々の丼が押し出されてくる。昭和の国道沿いを彩ったレトロ自販機が、令和を越え2026年の今、島根県で未曾有のフィーバーを迎えている。
かつて全国の長距離トラックドライバーたちの腹を満たしたこれらのマシンは、1970年代から80年代にかけて富士電機株式会社などのメーカーが競って開発したものだ。しかし、時代の移り変わりとともに自動販売機製造業の主役が清涼飲料やたばこへ移り、機械の生産は終了。部品の調達すら困難となった現在、全国的に稼働機は激減した。その希少価値が、今まさに昭和レトロに憧れる若年層や、往年のドライブ文化を愛おしむ中高年層の琴線に触れているのだ。