精神疾患の診断・統計マニュアルであるDSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル)の登場以降、発達障害の概念は連続体(スペクトラム)として捉えられるようになった。これに伴い、発達精神医学の領域では「遺伝的素因」と「環境要因」の相互作用を解き明かすエピジェネティクス研究が急速に進展している。
最新の知見によると、妊娠期の母体ストレスや微量栄養素の欠乏、周産期の環境、あるいは幼少期の養育環境が、DNAの塩基配列そのものを変えることなく遺伝子のスイッチのオン・オフを制御することがわかっている。高い遺伝的リスクを保持していても、安心できる人間関係や適切な環境調整が確保されていれば、二次障害や生活上の困難が著しく軽減されることが実証されているのだ。