ネット上の掲示板やSNSの予想コミュニティでは、「スタートが横一線(スリット同体)ならイン逃げ鉄板」という言説がまことしやかに語られます。しかし、これは危険な誤解です。
スリット同体でも発生する「伸び足まくり」の脅威
たとえ全艇が「0.13」のスリット同体でスタートを切ったとしても、モーターの直線性能(伸び足)に圧倒的な格差がある場合、スリットから第1ターンマークまでの約70メートルの間に外側の艇が内側の艇を半艇身以上置き去りにします。この場合、1マークに到達する直前で外艇がグイッと前に出てそのまま強引にまくり切ってしまうケースが多発します。
全国の「まくりが決まりやすい競艇場」の構造的特徴
全国24箇所のボートレース場は、プール水面、海水、河川水面など立地条件が千差万別であり、水面レイアウトによってまくりの成功率が劇的に変化します。
- ボートレース戸田(埼玉県):全国屈指の「イン受難水面」。コース幅が狭く、1マークがスタンド側に大きく振られているため、センターやカド(3・4コース)からのまくり出現率が全国トップクラス。
- ボートレース平和島(東京都):スタンドと水面の近さからビル風が吹き荒れ、潮の満ち引きとうねりが混ざる。1コースの勝率は全国平均を大きく下回り、強烈なカドまくりや差しが飛び交う波乱の聖地。
- ボートレース鳴門(徳島県):1マークのバック側が広く、スタートライン上のコース幅が狭いため、3・4コースが全速で握りやすい。
- ボートレース江戸川(東京都):日本で唯一の完全河川水面。潮流と風向きがぶつかる特殊な難水面で、水面を乗りこなす「波乗り巧者」による豪快な外マイまくりが日常茶飯事。
逆に、大村(長崎)や徳山(山口)、芦屋(福岡)のような「イン最強水面」では、多少のスタート遅れでもイン艇が水面特性と引き波で粘りきるため、安易にまくりを狙うと痛い目を見ることになります。