松山刑務所とはどんな施設?塀のない大井造船の実態と脱走事件の真相

松山刑務所とはどんな施設?塀のない大井造船の実態と脱走事件の真相

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開放型施設として高い評価を得ていた松山刑務所大井造船作業場ですが、その信頼を揺るがす重大インシデントが発生しました。2018年4月8日に発生した受刑者脱走事件です。

事件の主犯となった当時27歳の男性受刑者は、夕刻の点呼後に友愛寮の窓から逃走。盗走車を乗り継いで瀬戸内海の尾道市向島へ渡り、空き家や山林に身を潜めながら約3週間にわたって逃亡を続けました。連日、警察官延べ数万人規模が投入され、広島・愛媛両県の住民生活に深刻な不安と混乱を与えたこの事件は、最終的に同年4月30日、広島市南区の路上で警察官によって身柄を確保され、幕を閉じました。

「なぜ、仮釈放が目前に迫っていた模範囚がリスクを冒してまで脱走したのか」――公判記録や法務省の検証報告書によって明らかになったのは、開放的処遇施設ならではの過酷な人間関係とプレッシャーでした。

大井造船作業場では受刑者同士の自治制度が敷かれており、先輩受刑者が後輩受刑者を指導・監督する階層構造が形成されていました。被告となった受刑者は、寮内での厳しい人間関係や一部の受刑者・職員からの叱責による強いストレスに晒され、「ここに居続けるくらいなら逃げ出したい」という心理的追い詰め状態に陥っていたことが法廷で証言されました。

この事件を受け、法務省および松山刑務所は抜本的な再発防止策を講じました。受刑者間の自治に過度に依存する体制を改め、常勤職員の巡回動線の見直し、精神的孤立を防ぐ専任カウンセラーの配置、最新の動体検知センサーや赤外線カメラの導入など、「塀のない開放性を保ちつつ、心理的・物理的な安全網を多層化する」という大規模な改革が断行されました。

橋本 菜々子
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橋本 菜々子

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。