色ボケと呼ばれる状態に陥った人間は、客観的な判断力を著しく欠き、他者から見れば常軌を逸した行動を平然と取ります。認知心理学および神経科学の知見によれば、この状態は脳内の報酬系神経回路がハイジャックされ、神経伝達物質ドーパミンが異常過剰に分泌されている現象と説明されます。
恋愛初期における情動の高まり自体は自然な生理反応ですが、通常の「恋愛体質」や「恋愛脳」と呼ばれる人々は、日常生活や仕事における最低限の社会的ルールを維持できます。一方で色ボケに陥った人は、理性を司る前頭前野の抑制機能が麻痺し、リスク評価能力が極端に低下します。その結果、「相手に会いたい」「気を引きたい」という目先の報酬欲求が、仕事の納期、家庭の約束、金銭管理といった現実的な優先順位を完全に上回ってしまいます。
当事者へのヒアリング取材や心理カウンセラーの分析によると、色ボケの深層心理には強烈な自己愛の飢餓と現実逃避が潜んでいます。「これまでの退屈な人生を劇的に変えてくれる運命の相手」「自分を真に評価してくれる唯一の理解者」という認知の歪み(バイアス)が生じることで、相手の欠点や周囲の諫言がすべて排除され、都合の良いファンタジーの世界に没入してしまうのです。