「茶しばく」という表現のルーツは、昭和後期の大阪・ミナミ(心斎橋や道頓堀周辺)の若者文化や芸人文化に深く根ざしているとされています。かつて大阪の繁華街において、夜の街を闊歩する若者や芸人たちが、肩肘を張らずに仲間を誘う際のスラングとして多用し始めました。
当時の若者言葉において、「しばく」は一種の万能動詞として機能していました。対象をカジュアルに扱ったり、少し粗野で粋な雰囲気を漂わせたりするために、「〜をしに行く」の代わりに「〜をしばく」と当てはめる言葉遊びが流行したのです。
その後、1980年代から1990年代にかけて、テレビのバラエティ番組を通じて上方芸人が日常的にこのフレーズを用いたことで、関西ローカルの枠を飛び越えて全国区へと浸透していきました。「ちょっとお茶でも飲まないか」とストレートに言う気恥ずかしさを、あえて乱暴な言葉で茶化す関西特有の「照れ隠しの美学」が、この表現の誕生と普及を後押ししたと言えます。