テレビ界で順風満帆に見えた彼が、なぜ落語家への転身という大きな決断を下したのか。その背景には、30代後半に抱いた強烈な将来への不安がありました。「このままリアクション芸人を続けて50代、60代になったとき、自分に何が残るのか」と思い悩んでいた時期、転機をもたらしたのが先輩芸人・東野幸治の助言でした。
東野から勧められた上方落語の名人・桂枝雀のCD「阿弥陀池」を聴いた瞬間、全身に電撃が走るほどの衝撃を受けたといいます。「一人で何役も演じ分け、座布団一枚の上で無限の世界を作り出す落語こそが、自分が一生をかけて探していたものだ」と確信した方正は、すぐさま独学で稽古を開始。その後、上方落語の重鎮である月亭八方師匠の門を叩きました。
八方師匠は当初、人気タレントの気まぐれではないかと慎重に見極めていましたが、方正の並々ならぬ熱意と真摯な稽古の姿勢を認め、2008年に正式に入門を許可。「月亭方正」の名が授けられ、ここから落語家としての第二の人生が幕を開けました。