日本のベーカリー産業は今、歴史的な転換点を迎えている。全日本パン協同組合連合会の動向を見ても、原料価格やエネルギーコストの高騰が続く中、従来の「薄利多売なテイクアウト専業」から、客単価と付加価値を高めた業態への移行が急務となっている。そこで急成長を遂げているのが、イートインスペースを核に据えたハイブリッド型の店舗設計だ。
外食・フードサービス業との境界線は急速に曖昧になり、ベーカリーカフェという枠組みさえ超えたフルサービスのレストランを併設する店も珍しくない。ワインやクラフトビール、自家製スープとのペアリングを提案することで、客単価は従来のテイクアウト時の3倍以上に跳ね上がる。パンを「日常の主食」から「わざわざ足を運ぶべき食のエンターテインメント」へと昇華させる試みが、業界全体の潮流となっている。