山頂に燦然とそびえ立つ郡上八幡城は、かつて作家・司馬遼太郎が「日本一美しい山城」と称賛したことで知られる。1933年に木造で再建された城楼閣としては日本最古の歴史を誇り、天守閣へ続く木の階段を上るたび、ギシギシと響く床の音が長い歳月を感じさせる。
季節ごとに見せる表情の変化もドラマチックだ。初夏には眩いばかりの新緑が城を包み込み、秋には「天守炎上」と形容されるほどの見事な紅葉が山肌を染め上げる。さらに、秋冬の早朝に条件が揃えば、朝霧の海の上に天守閣が浮かび上がる「天空の城」の現象に出会えることも。天守閣から見下ろす魚の形をした城下町の全景は、登城の足の重さを一瞬で忘れさせるほどの絶景だ。