保護犬というと、かつては飼育放棄された成犬や、役目を終えた繁殖引退犬をイメージする人が大半でした。実際、シーズーの保護募集の多くは5〜8歳前後の引退犬が占めています。では、市場で需要が高いはずのシーズーの子犬が、なぜ里親市場に現れるのでしょうか。
その背景にある深刻な要因の筆頭が、悪質な繁殖業者によるブリーダー崩壊です。2026年の動物愛護管理法改正による数値規制(飼育頭数制限やケージの広さ規定)の完全施行を経て、指導を逃れられなくなった劣悪業者が事業を放棄し、生まれたばかりの子犬ごと行政や愛護団体にレスキューされる事例が後を絶ちません。
もう一つの現実は、外見や健康状態による「規格外」扱いです。生来のヘルニア(臍ヘルニア・鼠径ヘルニア)、軽度の心雑音、噛み合わせのズレ(オーバーショットやアンダーショット)、股関節の形成不全など、通常のオークション市場に流せない子犬が繁殖場から保護ルートへと流れてきます。繁殖引退犬は性格がすでに固まり家庭生活への順応トレーニングが課題となる一方、子犬の保護犬は潜在的な健康リスクを抱えている可能性が高く、これらを理解した上での医療ケアが必要です。