日本の都市構造は世界的に見ても極めて特殊だ。戦後の街区がそのまま残る都心部の路地や、勾配の急な住宅街では、従来の普通乗用車どころか軽自動車ですら切り返しに苦慮するシーンが日常茶飯事となっている。これまでは運転手の熟練したハンドル操作に頼ってきた空間的制約に対し、国内主要メーカーと新興スタートアップの連合チームが出した答えが、四輪独立操舵・独立駆動システムの極限化だった。
各ホイールハウスに組み込まれた高精度インホイールモーターと、90度を超えるステアリング舵角を実現する新開発のサスペンション構造。これにより、車両はその場の半径で自軸回転を行うことが可能となった。まるでエレベーターのターンテーブルに乗っているかのようなスムーズな動きは、乗員に旋回Gを感じさせない静粛性と安定性を保っている。