なぜ、これほどまでに澄んだ味が生まれるのか。その根底には、神谷康平氏が掲げるストイックな品質基準と、一杯に対する哲学がある。日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)が定める厳格なカッピング基準や評価スコアをクリアすることは、彼らにとって出発点に過ぎない。
「数値上のクオリティが高いことは大前提。その上で、飲む人の日常にどんな景色をもたらすかが僕たちの本質です」と神谷氏は語る。欠点豆の徹底的なハンドピックはもちろん、日々の湿度や気圧に応じたグラインドサイズのミクロン単位での微調整。カウンターの内側で行われる所作の一つひとつに、職人としての矜持が宿る。ただ高級なスペシャリティコーヒーを提供するのではなく、飲む人の身体にすんなりと染み渡るバランスを見極める感覚こそが、同店を唯一無二たらしめている。