標高約1,000メートル。冷涼な風が木々を揺らす八ヶ岳の麓に、その異次元の空間は突如として現れる。都会の喧騒から遠く離れた山梨の森林地帯と、地下鉄の壁面に殴り書きされたグラフィティを発祥とするストリートアート。一見すると対極に位置するふたつの要素が、ここでは完璧な調和を保ちながら衝突している。
キース・ヘリングが31年という短い生涯の中で駆け抜けた1980年代は、冷戦下の緊迫した空気と、エイズの猛威、消費社会の爆発が同居する激動の時代だった。館内に足を踏み入れた瞬間、太いブラックラインと鮮烈なプライマリーカラーで描かれたアイコンたちが、まるで今生まれたばかりのような生々しさで迫ってくる。