もちろん、行政側もこのいびつな状況を放置してきたわけではない。新座市と練馬区の間では、過去に何度も境界変更や新座市への編入に向けた協議が持たれてきた。
しかし、議論が進むたびに立ちはだかったのが住民感情と資産価値の壁だった。「練馬区民(=東京都民)」であるというアイデンティティ、都の福祉サービスや行政水準への愛着、さらには住所表記が「東京都」であることによる不動産的なブランド価値を手放すことへの抵抗感は根強かった。行政コストの非効率を是正したい自治体側の思惑と、個人の生活防衛の論理が平行線をたどり、最終的に現状維持のまま棚上げされ続けて現在に至る。