鬼の始祖・鬼舞辻無惨を輩出してしまった産屋敷一族は、「生まれる子供が病弱で早死にする」という千年に及ぶ呪いを背負っています。一族の血筋を絶やさないため、代々の当主は神職の家系から妻を迎える習わしがありました。あまねと耀哉の縁談も、形式上は一族存続のための政略結婚として始まります。
しかし、二人の関係性を決定づけたのは、初対面における耀哉の振る舞いでした。当時13歳だった耀哉は、4歳年上のあまね(当時17歳)に対し、次のように語りかけます。
「私は身体が弱く、長くは生きられない。あなたに無理強いはしたくないので、嫌なら断ってくれて構わない」
自分の運命を呪うことなく、相手の自由と尊厳を最優先にした年下の青年の誠実さに、あまねは深い感銘を受けます。神職の使命感からではなく、「この人の力になりたい」という自らの強い意志で嫁ぐことを決意したのです。病状が悪化し視力を失っていく耀哉の手足を支え、最期まで歩調を共にし続けた背景には、政略結婚の枠組みを遥かに超えた純粋な愛と信頼が存在していました。