国民的映画シリーズ『男はつらいよ』の第27作『男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎』で見せたマドンナ・ふみ役も、彼女の魅力を語る上で欠かせない。大阪の芸者として生きるふみと、寅さんとの切なくも温かい交流を描いた本作は、シリーズ屈指の傑作として名高い。
和服を着こなした美しい所作と、ふとした瞬間に見せる寂しげな笑顔。渥美清演じる寅さんとのテンポ良い掛け合いのなかに滲む、大人の切なさが観客の涙を誘った。松竹株式会社の看板女優として、伝統あるシリーズに新たな風を吹き込んだその姿は、昭和の映画ファンにとって忘れられない記憶として刻まれている。